銭湯帰りのクリーニング屋さん
年末です。
人から頼まれた絵を描いたり、年賀状をつくったり、掃除をしたりその他もろもろで忙しく…ブログの更新がちょっと滞っておりました。
銭湯帰りに、気になるクリーニング屋さんを見つけたので、ご紹介。
このブログでは銭湯の取材の後、たまたま立ち寄った気になる場所を、私が気が向いたときに紹介しているのです。詳しい位置は公開したり、しなかったり。
こちらのクリーニング屋さんのご主人は、ひっそり静かに暮らしたいとのことで、
ここは豊島区のどこかにあるクリーニング屋さん、ということにしておきましょう。
知らない街を歩くのは楽しいものです。
わたくしせんとガールは、そこらへんに石ころや葉っぱが落ちているだけでも楽しく思う省コスト仕様なので、そんなにお金がなくても生きていける、と今から高を括っています。
この日の銭湯の帰りも、狭い住宅街のおうちの植木鉢を見て楽しんだり、ぶちの猫とたわむれたりして良い時間を過ごしていました。
「……ん!?」
目に入ったちょっと異様な風景に立ち止まる。
……なんだここ?家の外に、金魚の入った水槽が!
植木鉢の植物もひとつひとつ、よく育っているのです。
ああ、なんだか、ジブリっぽい。見ていて楽しい。わくわくが止まらなくなってきた。
そーっと戸を開けて、片足だけ入れてみる。
「すみませーん。」
はっ、中にもたくさんの水槽が。そして、奥にはおびただしい 量の、ビニールがかかったお洋服。ここで、この建物がクリーニング屋さんだということに気づいた。
誰もでてこないので、中に向かってもう一度叫んでみる。
「あのー、すみませーん」
外の階段をカンカンと降りる音がして、白髪を後ろでしばったおじさんが、店の前までやってきた。
「なに?」
おじさんの着ているシャツは、真っ白だった。襟をばちっと立てて、なかなか決まっている。(でもちょっと不機嫌そう。)
「あ、あの、このあたりの地図を作っていまして…、写真を撮らせていただけないかと思いまして…」(←アポなしでお店の写真を撮らせてもらうには「地図を作っていまして」は便利な言葉です。。)
「え?そんないいもんじゃないよ。こんなきたねえ店」
話によると、人が珍しがってしょっちゅう見にくるもんだから、ちょっと対応が面倒なようなのです。
「俺は生き物が好きで、やってるだけなんだよ」
「わたしもこういう感じが、大好きなんです!」というと、ここでおじさんは初めてニカッと笑った。
「あっそう!じゃ、上で作業してるから勝手に撮っていいよ」
「わーありがとうございます!…上ですか?」
あっ!
かわいいわんちゃんが、外階段の上でおじさんが戻って来るのを待っていました。
(看板のクリーニング屋さんの名前は消してあります)
さらに階段の上は、板を継ぎ渡した、手作り感溢れるジャンプ台にも見えるものがあり。
「あ、あれはなんですか? べ、ベランダ?洗濯ものを干すんですか?」
「違うよ!鳩レースのときに、鳩がここに戻ってくるように作ったんだよ。
前はもっとでかかったんだけどな。縮小したんだよ」
つまり、上には鳩の小屋があるわけです。(登って確かめることは怖くてできませんでしたが……、)
決められた場所で鳩を解き放ち、この鳩舎に戻ってくる時間を競うわけですね。
鳩レースなんてあるの知らなかった。おじさん。好きなこと色々やってるんだな。
それにしても見ていて飽きないクリーニング屋さん。以前、歴史学者の外人さんも訪れて感動していたそう。
そいで、下から写真を撮っている間、このわんちゃん、おじさんの隣からずっとこっちを見ているのです。
「どう?僕の城だよ」と言っているみたいにも見える。
おじさんはわたしの存在を忘れたように何か作業に没頭していましたが、
そのうち、上から「ポポッ」「ポポッ」と鳩の声がして、一羽づつ順番に鳩が小屋から飛び出してきました。
「わぁー」
住宅地の上空を旋回する鳩。周りにも、私の他に見上げてる人が2人くらい。
青空に、白い鳩たちが映えていました。
鳩たちが自由に飛び回っている間に、小屋の掃除をするおじさん。白いシャツがまぶしかったです。クリーニング屋さんだから、白が好きなのかな。
都会の住宅地で、こんなに面白いものが見られるのか・・・。と、この日は感動したのであります。
みなさんも銭湯の帰り道、ちょっと寄り道してみてはいかがですか?
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