カエル折り紙1
富士見湯日記 *1 より。
2011年 3月10日 晴れ
今日はお客さんに、ジュースをごちそうになった。
お客さんに何かを奢ってもらったら、伝票に印をつけておくと、富士見湯から、アルバイトの女の子に百円のお小遣いが出る。
その百円玉は、富士見湯の息子であるアキさんの手により、カエルの形に折った紙の中に包まれ、バイトの帰り際にもらうことができる。無事に家に「かえる」ことができるように、という思いを込めて折ってくれているのだそうだ。
アキさんはいつも、夜8時になると、フロントに現れる。昼間は社長の奥さん、夜からは、アキさんの時間帯なのだ。夜中から明け方までの間に、一階の風呂掃除を一人で行っているらしい。
アキさんは、いつも何かとクリエイティブで、サービス精神旺盛だ。
バイトの子に、上手にあだ名をつける。
この折り紙カエルには、アキさんが勝手に付けるあだ名が書かれていて、それは毎回違う。私が気に入っているのは「ちたねちゃん」だ。
書かれている名前について何も触れずに、お礼だけ言って受け取ると、「ちたねじゃありません、ちぐさです、でしょ。」と、アキさん自ら訂正する。
これに反応があるかないかで、バイトの子がどれだけ疲れているのかが分かるのだと言っていた。
ときどき桃や、セミ、兜の形の折り紙をもらえることもある。
つづく。
*1:※「富士見湯日記」とは……せんと♨︎ガールの学生時代のアルバイト先、「富士見湯ケンコー銭湯」での出来事を日記に綴ったものなのです。(銭湯の名前をクリックすると、地図が出ます。)