蛇骨湯の古地図も発見!てくてく浅草めぐり
「蛇骨湯」という銭湯の取材の帰り道のおはなし。
せっかく浅草まで来たので、この辺りをブラブラしてみることに。
わたし実は、今まで浅草に遊びに来たことがなく、下調べもろくにしてこなかったので、とにかく蛇骨湯から歩けるだけ、歩いてみることにしよっ。と、決めたところで目に留まった、、
ここは、「浅草ハヤシ」という判子屋さんでした。
蛇骨湯のある細い通りを抜けてすぐの、新仲通り沿いにあるお店です。
普段、判子屋さんに入ろう〜、なんてなかなか思わないのですが、この看板に惹かれて、吸い寄せられたのです…。すい〜っと…。
おおっ、お洒落な判子だなあ〜。なんだか、遊び心もあるし。
私もそのうち「せんとガール」か「ちぐた」という名前で、判子を作ってみたいと考えていたので、興味津々で看板を眺めていると・・・、
お店の中から「おいでおいで」と手招きしている人が。
「ゆっくり、中も見て行ってくださいね」
このお店のご主人が、まあ、穏やかな素敵な方でして…。
こちらのお店の判子は、木材のものは全て適度に固さがあって彫りやすい、「ツゲ」の木で作っているそうです。他にも象牙や石、樹脂などいろいろな素材から選べるそうですが…。
こちらが、判子をひとつひとつデザインしている、文字師の照 艸人さん。
実際に顔を合わせた人の判子しか作らない、と決めているそうで、その人の雰囲気や表情なんかの要素も判子に取り入れられないないか…、などゆっくりお話をして人柄を見た上で、半月かけて試行錯誤するのだそうです。
半月かけて、自分のことを考えてもらって、精魂かけて作って頂いたら、もう、それはすごい宝物になるだろうなあ…。
有名人の方の判子も、手がけられたそうで。。名前は出せないのですが、「ええーーっこ、この人の!?」というびっくりするような有名な方の判子もなどもいくつか見せて頂きました。
昔の江戸っ子に好まれた駄洒落も交えたり、話のネタになるように、ちょっとの謎を残したり。遊び心たっぷりの判子です。外枠は、つげの枝の切り口の形をそのまま活かしていたりして、愛嬌のあるいいかたち〜。
偶然ふらりと入った判子屋さんで、文字の考え方や、作るときの心構えなど、いろんなお話を、かれこれ1時間半近く、聞かせていただきました。なかなか聞けるお話じゃないので、面白くって時間を忘れてしまいました。
「伊勢屋、稲荷に犬の糞*1」という言葉の意味を教えてもらったり…。
見ていて楽しい判子を考えているご主人だけあって、お話も楽しいです。
そして…この辺り周辺の古地図も見せてもらったのです!お〜、いい配色〜。
って、あ!
じゃ、蛇骨…"長屋"と書いてある。
今の「蛇骨湯」は、昔は長屋だったのですね〜。
これ、お友達の歴史学者さんから頂いた、貴重な地図なのだそうですよ。
せんとガールを読んでくれている読者さんに後で教えて頂いたのですが、これは350年以上前の町並みが書かれた地図だとか!これは、お店で売られている古地図よりも古く、大変貴重、だそうです。びっくり〜。
1657年に江戸で「明暦の大火*2」という大規模の火事があったため、神社やお屋敷などを浅草に移すために、この辺りは街割りを一部やり直しているのだそうです。これはそれよりも昔の地図、ということになります。
「蛇のように長いから、蛇骨長屋なのかな〜?」なんて、ご主人と一緒に蛇骨湯さんの名前の起源を考えたりしました。
この後どこへ行くかも決まっていなかったので、ご主人おすすめの観光スポットを教えてくれました。わざわざ地図に線を引いてもらっちゃいまして…ありがとうございます!
地図カードを片手に持って、国際通りとは逆の方向に新仲通り沿いに歩き、ぶつかったオレンジ通りを、左に抜けました。
角の浅草公会堂では、ほぼ毎日なにかしらコンサートや漫才大会など、行われているようですね〜。
公会堂の向かいの、判子屋ご主人おすすめの、鎮護(ちんご)堂。
こちらが災難除けや商売繁盛のご利益があるという、おたぬき様です。
この敷地内、周りには誰もいない〜……ぽつんと一人。
私とおたぬき様(二体)とで向き合う。隠れ家的お参りスポット?
一人でお寺や神社へお参りなんてしたことなく、なんとなく気恥ずかしいので
棒立ちで「お願いします…」(←何を)と、心の中で唱えておきました。
鎮護堂のある、伝法院通り。鎮護堂は、隣に建つ伝法院を火災から護るために建てられたお堂なのだそうですよ。(伝法院は、一般公開されていませんでした。)
平日なのに伝法院通り、すごく賑わってました〜。食べ歩きしたくなる通り。ここを進んで行くと、浅草寺に向かう「仲見世通り」にぶつかるのです。
あれ。提灯に書かれているのは「雷門」じゃないんだあ。
どうやら、雷門は、まっすぐ続く仲見世通りの、もっと手前にあるみたい。わたしはふたつ並ぶ門の途中から合流したわけです。雷門じゃないけど、大きくて立派な門だなあ。「宝蔵門」というそうです。
門の奥の方に、煙に群がっている大勢の人たちが見えて、この距離から見ていると「何であんなことしてるんだろう」と思えてくる不思議…。すみません笑
一人で行くのもな〜…また誰かと来よう。と、これ以上進むのはやめました。
宝蔵門を横目に右に抜けて行くと、今度はお稲荷さまに会えるらしいです。
曇り空でも、趣があってすてきに見える建物〜。
浅草寺横の、あまり人気の無い浅草神社の、その奥の、さらに人のいない、こちらが被官稲荷神社。
おいなりさま!
い、いっぱいいる〜。かわいい。
奥のおく〜に、祀られておりました。この狐の「おすがた」は一体1500円するとかで、ここにお参りに来た人が並べていくのでしょうね〜。表情はひとつひとつ、違うそうですよ。
しばらく一人、ぽけーっと社殿を眺めていると、
「パンッパンッ」後ろで手を叩く音!(すごくいい音)
びくついて横にずれる私。
後から来た人が、何人か、すごく熱心な様子でお参りしておりました。深々と、二度お辞儀をして、真剣です。すごいご利益が、あるのかな〜。
私も照れてる場合じゃなく、お参りの作法をマスターせねばな…。と、思いながらそこを後にしました。
初めての浅草散歩、ちょっと普通と違うルートになってしまった気もしますが〜、
一人で来ても見れないものを、色々見せてもらった気がします。
勇気を出して街の人と話してみると、すごくいいこと教えてもらったり、ご利益?があるものだなあと…じーんとした、ちょこっと旅でした。
出世!したら、判子作りにいくぞっ。
帰り道に、浅草寺近くで売っていた美味しいお団子を食べて帰りました。
まだまだ、見るものは山ほどありそうな浅草です。
そして、こんなにぎやかで魅力ある街の真ん中にある銭湯。すごい。
蛇骨湯、行ってみる価値ありますよ〜!
蛇骨湯Data
《住所》 東京都台東区浅草1-11-11/東京メトロ 田原町 3番出口より徒歩3分、都営浅草線 浅草 A1出口より5分 |
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《TEL》 03-3841-8645 |
《営業時間》13:00〜24:00 |
《定休日》 火曜日(祭日は営業、翌平日休業) |
《URL》 http://www.jakotsuyu.co.jp/index.html |
蛇骨湯マップ