せんと♨︎ガール

美大出身の「せんとガール」が、昔ながらの銭湯をめぐる。(主に東京) 

魔法使い2

「富士見湯日記」より。

・・・これは、せんと♨︎ガールこと私ちぐた氏が、銭湯巡りを始めるきっかけになった、「富士見湯」での出来事を日記に書き記したものである。

時間軸にそって最初から読む方は、こちらから。

 

 

魔法使い1の続き

その日は二つの家族が同時にやってきた。
家族ぐるみで仲が良いらしい。二つの家族が入り混じり、どっちの家族なのか判別できない人もいる。12人がわらわらと座敷に押し寄せた。察しは付いたが、一気に大量のメニューを頼まれた。
まぐろ山かけそばセット、生ビール、枝豆、お湯割、冷や麦(大盛り)、おにぎり(こんぶと梅)、そうめん二つ、もつ煮、、鶏おろしそば、冷ややっこ、肉じゃが、いかそうめん二つ、ライス、あと、お菓子持ってきて。
ごくり。アイコさんと二人で、なんとかなるだろうか。
「慌てなくて大丈夫だよ。ひとつひとつやれば」と、アイコさんは優しく声をかけてくれた。

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私はとりあえず、飲み物と、おにぎりの担当になった。梅おにぎりを握りながら、ちらと見ると、確かにアイコさんは慌てていない。動きは普通のスピードで、いつもと変わらない。淡々と、料理をこなしていった。気がつけば、30分ほどでほぼ全てが出し終り、大家族はほとんどの人が食事をしていた。

アイコさんはふう、と椅子に腰掛け、「今のは、怒濤だったなあ」と言った。そんな風に見えない。「アイコさん今、魔法、使いましたか」と聞いてみると、「使えないよ」と笑っていた。私なら、パニックを起こす量の注文だ。

「枝豆、まだ?」
坊主頭の男の子が聞きにきた。
「あ、忘れてた」
藍子さんは、何でも無いような様子で凍った枝豆を取りに行った。忘れたものがあっても、やっぱり落ち着いていた。
持って生まれた性格のなのか、それとも、ここが富士見湯だからか。

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魔法使い2 完

 

 

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富士見湯ケンコー銭湯 Data
住所  東京都東大和市南街6-1-25
TEL  042-567-1126 営業時間 13:00~24:00
(土曜、日曜、祝日は12:00から営業)
定休日  火曜日(祝日は営業、月末の火曜は営業)
アクセス  ・鉄道

西武拝島線東大和市駅徒歩8分

・バス

西武バス・第二小学校前停留所・徒歩1分

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