コーラと帆立2
「富士見湯日記」より。
・・・これは、せんと♨︎ガールこと私ちぐた氏が
銭湯巡りを始めるきっかけになった、
「富士見湯」での出来事を日記に書き記したものである。
時間軸にそって最初から読む方は、コチラから。
「この時間に、お客さんが来るんだよ。メニュー聞いてくるね」
チハルちゃんは、キッチンを離れた。
帆立の酒蒸しは、なるほどマリちゃんが毎日頼むだけあって、美味しそうだ。ジュウジュウ音を立てて焼かれる帆立から、いい香りがしてきた。
「ビーッ ビーッ ビーッ 換気をしてください!」
突然、キッチンのはじから警告音が鳴りだした。
電子的な、女性の声が響く。音量はかなり大きい。
ビーッ ビーッ ビーッ 換気をしてください!
「換気、換気しなきゃ 」
私がうろたえていると、チハルちゃんが戻ってきて、冷蔵庫の後ろに回り、何かのコンセントを抜いた。音がぴたりと止んだ。
「ごめんごめん。帆立やると煙たくなるから、鳴っちゃうんだ。鳴ったときは、このコンセント抜いてね。」
「あ、換気とかは別にしなくて大丈夫だから」
「そ、そうなんだ…」
それにしても物凄い音だった。座敷を覗いてみると、マリちゃんは何事もなく座っている。キッチン手前の丸テーブルに座るお客さんも気にしていない。二階にサイレンが鳴り響くのは、通常のことらしい。
それから、丸テーブルのお客さんには生ビールを、マリちゃんには
「われもこうね」「はい?」
「われもこう!」
「えと、われ…何でしょうか?」
「あ、はいはい、吾亦紅ね。入れるよ〜」
チハルちゃんが、後ろから助け舟を出してくれた。
すぎもとまさとの「吾亦紅」という曲は、マリちゃんの十八番なの
「マリちゃんの歌☆一覧」と書かれた紙が、カラオケの機械の近く
三人しかいない宴会場の舞台の上で、マリちゃんは歌う。
座敷から離れたところにある丸テーブルの女性は、ただ、ビールを
マリちゃんの曲が間奏に入ると、チハルちゃんが、突然大きな拍手
私も、慌てて両手を叩いたが、チハルちゃんのようにうまく大きな
修行が足りないのだ。
富士見湯ケンコー銭湯 Data
住所 | 東京都東大和市南街6-1-25 | ||
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TEL | 042-567-1126 | 営業時間 | 13:00~24:00 (土曜、日曜、祝日は12:00から営業) |
定休日 | 火曜日(祝日は営業、月末の火曜は営業) | ||
アクセス | ・鉄道
・バス 西武バス・第二小学校前停留所・徒歩1分 |
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