せんと♨︎ガール

美大出身の「せんとガール」が、昔ながらの銭湯をめぐる。(主に東京) 

家族のような

「富士見湯日記」より。

・・・これは、せんと♨︎ガールこと私ちぐた氏が
銭湯巡りを始めるきっかけになった、
「富士見湯」での出来事を日記に書き記したものである。

時間軸にそって最初から読む方は、コチラから。

 
12月9日 晴れ

富士見湯で働くことになった。
初めて客として富士見湯に行ってから、二週間も経っていなかったと思う。隣の部屋の先輩に、「一緒に富士見湯でバイトしないか」と誘われたのだ。
風呂付き、食事付きの、アットホームなゆるい職場だとのこと。
そこのアルバイトは、代々ほとんどが美大生で成り立っているらしい。

「銭湯で働くなんて、絶対、ちぐちゃん向いていると思う」と言われ、おだてに弱い私はすぐに承諾した。先輩が富士見湯の社長に電話で伝えると、さっそく顔を見せに来るように言われ、先輩の後について、富士見湯へ向かった。

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顔合わせは、二階で行われた。
一階もごちゃごちゃと物で溢れかえっていた印象だけど、初めて上がる二階は、更に大物がひしめき合っていた。
一昔前のゲーム機、段ボール、空き瓶、お菓子、冷蔵庫…、情報量が多すぎて、この空間は一体なんなのか、把握できない。

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初めて会う、にこやかな社長に、「ここに座りな」と促される。
白い丸テーブルをぐるりと囲む四脚の、ゆったりと余裕のあるイスは、クッションがあちこち破けて中のスポンジが見えていたりするが、腰掛けるとやけに落ち着く。
初めての場所なのに、ふっと自分に馴染む感じがした。

 

社長は、オレンジジュースを出してくれ、「夢は何?」「どんな家に住んでるの?」といろいろ質問を投げかけた。面接というよりは、聞き上手なおじいちゃんがうんうん、と話を聞いてくれているようで、人見知りな私でも話しやすく、タライの浴槽では膝が出てしまう話などをした。面接らしい質問としては、「お前、豆腐は切れるか?」「はい。」「なら、頼むよ。」
豆腐が切れることは絶対条件であるらしい。

夕飯食べて行くか? と言い、社長がメニュー表を渡してくれた。作って覚えて行きな、と。まだ働いてもいないのに、大好きなネギトロ丼をごちそうになってしまった。私は、環境に恵まれやすい体質なのだろうか。

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富士見湯ケンコー銭湯 Data
住所  東京都東大和市南街6-1-25
TEL  042-567-1126 営業時間 13:00~24:00
(土曜、日曜、祝日は12:00から営業)
定休日  火曜日(祝日は営業、月末の火曜は営業)
アクセス  ・鉄道 西武拝島線東大和市駅徒歩8分

 ・バス 西武バス・第二小学校前停留所・徒歩1分

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