せんと♨︎ガール

美大出身の「せんとガール」が、昔ながらの銭湯をめぐる。(主に東京) 

世田谷ノスタルジー、藤の湯(中編)

藤の湯レポ、前編はこちら

 

「富士見湯っていう銭湯で、アルバイトをしていたんです」

「へえ〜、そうなの。」

受付に座る寡黙な感じのご主人に話しかけると、銭湯の組合名簿を調べてくださいました。
話してみると、人柄の良さがにじみ出ており、ほっとするお方でした。
その後、フクロウたちの存在のワケを教えてくださるのですが、それは後ほど。

のれんをくぐって脱衣所に入ると、全体的に落ち着いた色合いで、思ったより広々しています。たっぷりのくつろぎスペース。

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タイルの水玉模様が、さりげないかわいさ〜。

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さっそくお風呂に入ろうと、私がいそいそとロッカーに荷物を入れていると、
後ろから声をかけられ。

「ごめんなさいね、この子、使ってもよろしいですか?」

「あっ、もちろん。どうぞどうぞ!」

おばあちゃんが笑みを浮かべながら、丁寧な様子で椅子を引っ張っていきます。

椅子は、引きずりの音防止のためか脚にテニスボールを履いていて、大事に使いたくなるような、コロンと愛嬌のある形でした。

絶妙な背の低さといい、なんだか使い勝手が良さそう。

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浴場に入ると、すぐ目に入るのが立派なやぐら。

男風呂と女風呂のしきりをまたいでいました。

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壁のタイルの上の部分は板で仕切られていて、これがまたレトロな雰囲気。

真下にある木風呂には、炭の入った袋が浸してあって心地よさそうです。

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まずは体を洗う。

シャンプー、ボディソープが常備してあるので、手ぶらでOKですよ。

桶は、おなじみ黄色のケロリン桶。

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木風呂は後のお楽しみにして、まずは隣の湯船にそろりと脚を入れてみる。

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(あっ、あつっ。)

予想より少し熱いことに驚き、
なぜか退くのでなく、勢いよく二歩目を踏み出し…

「あっ」 

ドッボーン!!!

湯船が予想外に深く、不本意にも派手な音を立て飛び込んでしまった。

振り向くと、体を洗っていた年配のおばさんが、ギョッとした顔でこっちに目をやってます。

「す、すみません・・・」

身を縮めて、肩まで体を沈めました。

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全身入ってしまえばこの温度にも慣れるかと思いきや、なかなかの熱さ。

じっと耐えます。

しかし、肌のしびれる感覚が無くなりません。


熱いお湯を埋めるための蛇口は、ちゃんと設置してあるのです。

ですが、生粋の日本人である私は、こういう所では(無駄かもしれない)心配りを発揮します。

(誰かが埋めるまで待とう。)

誰か浸かっている人がいると、私の一存で温度を変えていいものか、本当に迷います。
しかも初めて行った銭湯だと。

隣で浸かっているおばあちゃんは、蛇口を触る気配もなく…(´-ω-`;)

1分くらいで降伏・・・。(お湯から上がりました)

こうやって、初めての銭湯で、様子を伺い空気を読みまくり、暗黙のルールを察知しようとする・・・

わたしは、銭湯で過ごすそういう時間も好きなのです。←特殊な楽しみ方?

 

後編に続きます。

 

 

 

藤の湯データ

住所 玉川台2-1-16
TEL 03-3700-3920 FAX 03-3709-1678
営業時間 15:30~23:00
定休日 金曜日

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