せんと♨︎ガール

美大出身の「せんとガール」が、昔ながらの銭湯をめぐる。(主に東京) 

シックなデザイナーズ銭湯、露天風呂付き。三鷹のぼり湯。(前編)

本日は三鷹市にある、「のぼり湯」へ行ってきたのです。武蔵境駅から、バスで10分ほどのところにあります。 少し前、ここ「のぼり湯」のご主人が、うちにも取材に来い来い〜と、わたしに声をかけてくださったのです。 自分のやっていることを誰かが求めてく…

富士見湯小ネタ集2

富士見湯日記 *1 より。 上の写真は、富士見湯の息子さんであるアキさん。飲み物の点数シールをお客さんにあげるため、フロントの商品棚にシールを貼って、集めている。富士見湯には、こういった、従業員や常連さんしか知り得ない暗黙のルールというものがあ…

北上夜曲2

富士見湯日記 *1 より。 「いやー、普段から歌い慣れてる人の歌い方だよ」歌い終わっておじぎをし、舞台から降りると、田中さんがほめてくれた。「もっと歌ってよ。良い声してるよ」「そ、そうですか?」おだてられて、いよいよ調子に乗ってきた。他にお客さ…

北上夜曲1

2011年 3月30日 晴れ お客さんの少なくなった富士見湯は、今日も営業中だ。この日も二時間近く、宴会場には誰も来ない。私は湿らせたティッシュで炊飯器を磨いていた。 「誰もいねえなあ〜、おい」間延びした声が座敷に響いた。「あ、田中さん」キッチンの開…

カエル折り紙2

富士見湯日記*1より。 2011年3月27日 晴れ あの大地震から、半月ほど経っていた。 富士見湯の二階に来るお客さんの数は、がくっと減っていた。私だって、銭湯には入れても、なかなか飲んだり歌ったりする気分にはなれない。誰もいない二階のキッチン…

カエル折り紙1

富士見湯日記 *1 より。 2011年 3月10日 晴れ 今日はお客さんに、ジュースをごちそうになった。 お客さんに何かを奢ってもらったら、伝票に印をつけておくと、富士見湯から、アルバイトの女の子に百円のお小遣いが出る。その百円玉は、富士見湯の息子である…

せんと♨︎ガール、銭湯の取材に行く。(後編)

「せんと♨︎ガール、銭湯の取材に行く編」の最終回です。 前編はこちら。中編はこちらから、読むことができます。 撮影日の当日。 許可を頂いている分、初日に比べて少し気持ちが楽です。銭湯の中の撮影したい場所を頭に思い浮かべ、シミュレーションしながら…

せんと♨︎ガール、銭湯の取材に行く。(中編)

埼玉の、夏の暑さに負けて、スライムになっておりました。 ("せんとガール"こと、ちぐたは、実は埼玉県在住なのである。) 遂に自宅へエアコンを導入し、スライムガールは、せんとガールへと、復活!いたしました。やっと、パソコンと正面から向き合う気持…

せんと♨︎ガール、銭湯の取材に行く。(前編)

今回はちょっと特別編です。 ・・・銭湯の中の撮影は、禁止されていることが多い。携帯電話やスマートフォンも、盗撮の恐れがあるため、ほとんど、使う行為すら許されていない。銭湯が、安心して裸になれる場所であるためには、当然かなとおもいます。中を撮…

鯉、金魚が泳ぐ。こだわりの庭。東京浴場(後編)

東京浴場の記事、前編はこちら。中編はこちらです。 ひょいと見上げると、庭の上に煙突がみえました。 一人で金魚を見て、口を開けて驚いたり、窓から身を乗り出して外を覗いたりする私は、常連さん方にはどう見えているんでしょうか。。端から見ると完全に…

鯉、金魚が泳ぐ。こだわりの庭。東京浴場(中編)

前編はこちらから。 入り口そばの松が、ご立派です。中のお庭から顔を出しているみたい。 靴箱がある入り口正面の壁の景色は、風景写真を引き伸ばしたもの。 常連さんでしょうか。おばあちゃんが一人買い物カートを引き、勝手知ったる様子で入って行きました…

鯉、金魚が泳ぐ。こだわりの庭。東京浴場(前編)

おはようございます。久しぶりの、ブログ更新です。 このブログは、Facebookページ「せんとガール」の更新記事を 読みやすくまとめたものです。 こちらは先取りでちょっとづつ記事が読めますので、良かったら覗いてみてください。 今回は、品川区にある、「…

魔法使い2

「富士見湯日記」より。 ・・・これは、せんと♨︎ガールこと私ちぐた氏が、銭湯巡りを始めるきっかけになった、「富士見湯」での出来事を日記に書き記したものである。 時間軸にそって最初から読む方は、こちらから。 魔法使い1の続き その日は二つの家族が…

魔法使い1

「富士見湯日記」より。 ・・・これは、せんと♨︎ガールこと私ちぐた氏が、銭湯巡りを始めるきっかけになった、「富士見湯」での出来事を日記に書き記したものである。 時間軸にそって最初から読む方は、こちらから。 1月23日 晴れ 踏み台にしていた椅子の足…

九谷焼タイル絵が彩る、銀座の金春湯(後編)

金春湯の取材レポ、前編、中編もよろしく。 あちらこちらにある絵を楽しみながら体を洗い終え、湯船へ向かいます。角が丸く可愛らしい浴槽が、ふたつ。手を入れると、おお。アツい。43度です。以前は、今より一度高い、44度だったのだそう。 埋め水をしたい…

九谷焼タイル絵が彩る、銀座の金春湯(中編)

金春湯レポの前編は、こちら。 ドアを開けると、すぐ目の前に、番台。ここで、お金を払います。450円。 男女の脱衣所をまたいだ、昔ながらのタイプです。これから出来る銭湯で、このスタイルを採用する銭湯はきっと、出てこないでしょう…。内輪をあおいだ小…

九谷焼タイル絵が彩る、銀座の金春湯(前編)

先日読者の方から教えて頂いた、金春湯(こんぱるゆ)へ行ってきましたよ!銀座駅から徒歩5分の、贅沢な場所にあります。店前の人通りは多め。 のれんの下をくぐると、「わ」の文字が書かれた看板が、出迎えてくれました。まだまだ、銭湯めぐり初心者の私。…

コーラと帆立2

「富士見湯日記」より。 ・・・これは、せんと♨︎ガールこと私ちぐた氏が銭湯巡りを始めるきっかけになった、「富士見湯」での出来事を日記に書き記したものである。 時間軸にそって最初から読む方は、コチラから。 「この時間に、お客さんが来るんだよ。メニ…

コーラと帆立1

「富士見湯日記」より。 ・・・これは、せんと♨︎ガールこと私ちぐた氏が銭湯巡りを始めるきっかけになった、「富士見湯」での出来事を日記に書き記したものである。 時間軸にそって最初から読む方は、コチラから。 12月27日 晴れ 初めての、銭湯でのアルバイ…

富士見湯小ネタ集1

二階、ビールを飲める丸テーブルの客席には、決まった常連さんが座ることが多い。食材を入れた冷蔵庫や、使えるのか分からないレトロなゲーム機などに囲まれたこの場所は、何故か居心地が良いらしい。 手前の赤い椅子も、なかなかの座り心地である。ビール片…

家族のような

「富士見湯日記」より。 ・・・これは、せんと♨︎ガールこと私ちぐた氏が銭湯巡りを始めるきっかけになった、「富士見湯」での出来事を日記に書き記したものである。 時間軸にそって最初から読む方は、コチラから。 12月9日 晴れ 富士見湯で働くことになった…

世田谷ノスタルジー、藤の湯(ふくろう編)

藤の湯レポはこちらからまとめて読めます。 お風呂から出たあと、あちこちに貼ってあるフクロウの版画や、置いてある木彫りについてご主人に聞いてみると、ほとんどご自分で制作されたものだそう。子どもの頃から、自分の家の銭湯の裏に積んであった薪で、木…

世田谷ノスタルジー、藤の湯(後編)

藤の湯レポ、前編はこちら。中編はこちらです。 さ、お楽しみの、やぐら下の木風呂。こぢんまりした浴槽なので、誰も入ろうとしていない瞬間を見計らい、さっと移動し、いやみなく(?)独占します。お湯の温度がぬるめで、りらっくす〜。緊張と、弛緩の、絶…

富士見湯日記とは。

こんにちは。銭湯巡りが趣味の、ちぐたと申します。 私の書いているブログの一つ、「富士見湯日記」について改めてご紹介します! 「せんと♨︎ガール」では、私が学生時代アルバイトをしていた銭湯での出来事を、写真と合わせて日記にして載せています。名付…

世田谷ノスタルジー、藤の湯(中編)

藤の湯レポ、前編はこちら。 「富士見湯っていう銭湯で、アルバイトをしていたんです」 「へえ〜、そうなの。」 受付に座る寡黙な感じのご主人に話しかけると、銭湯の組合名簿を調べてくださいました。話してみると、人柄の良さがにじみ出ており、ほっとする…

世田谷ノスタルジー、藤の湯(前編)

世田谷用賀駅からほど近い場所にある「藤の湯」に行って参りました。 このレトロな味わいのある銭湯は、環八の側道沿いのちょっと奥まったところに、ひっそりと佇んでいます。 入り口も、いい感じ〜。風情が漂ってる。 ここは、手ぶらOKの銭湯らしい。下の手…

浴槽のないアパート3

「富士見湯日記」*1より。 脱衣所にいるお客さんは、私と年配のおばさんの二人だった。ぐるっと中を見渡して、空いているロッカーを見つけ、のろのろと荷物を入れる。 (あ、体を洗うタオルを忘れた。まあ、手で洗えばいいか。) 横に「貴重品は風呂ントへ」…

浴槽のないアパート2

「富士見湯日記」より。 11月20日 晴れ 「ちぐちゃんはシャワーだけで、お風呂寒くない?」「え?」 アパートのドアの前で、隣の部屋に住む大学の先輩に声をかけられた。言葉につまった。「私こないだね、通ってる銭湯のおじさんにバイトしないかって言われ…

浴槽のないアパート

11月2日 曇り時々雨 ホームセンターから電話。発注していた大型タライが届いたらしい。 小雨の中、傘をさして取りに行く。あまりにタライが大きいため、レジでお店の人が困っている。 「お車でお越しではないんですよね?」「あ、はい。歩いてきました」「こ…

富士見湯日記

せんと♨︎ガールこと私ちぐた氏は、昨年まで美大に通いながら、「富士見湯ケンコー銭湯」という東京の銭湯でアルバイトをしていました。 そして、アルバイトに入るたび、毎回起こるちょっと面白い事件を記録(メモ)し、文章に書き起こしていました。 名付け…